臨床工学科取組み1

臨床工学科では下記の活動に積極的に取り組んでいます。

 

1、透析液の清浄化 ~きれいな透析液を求めて~

どうしてきれいな透析液が必要なの?

血液透析では標準的な1回の治療(1回4~5時間)に、120L~150Lと多くの透析液がダイアライザーを介して血液と触れています。その為、透析液は出来るだけきれいな状態(清浄化された透析液)が望まれます。
きれいではない(清浄化されていない)透析液で長期にわたって繰り返し透析治療を行うと、きれいではない透析液に何度も体が暴露されることで炎症が起こり、さまざまな合併症を誘発する要因になります。一方、清浄化された透析液の使用は様々な効果があると国内外の学会で多くの報告があります。

そこで私たちは、毎日の透析装置配管の洗浄では洗浄しきれない逆浸透装置や送液配管を定期的に熱水消毒または薬液消毒を行なっています。

透析液やオンライン補充液の安全性を確保する為に透析液供給装置後や患者監視装置に細菌や細菌の死骸であるエンドトキシン等を捕捉する為のフィルター(ETRF)を設置しています。そのようにして清浄化された水質の確認や評価は、毎月複数個所の透析用希釈水と透析液の細菌とエンドトキシンの検査を行ない、日本透析医学会や日本臨床工学技士会のガイドラインで推奨される管理基準値を参考に、同等かそれ以上の厳しい院内独自の基準値を設けて管理しています。

また、きれいな透析液を保つため各透析室より選任されたメンバーで構成された透析機器安全管理委員会を設置しています。

【透析機器安全管理委員会の透析液清浄化に関する主な活動内容】

  1. エンドトキシン・生菌測定結果よる水質状況の調査、水質維持方法や基準値を超えた場合の処置の考案
  2. 検討・対応した際の文書化による記録・保管
  3. 透析用水・透析液製造に関する周辺機器のオーバーホールやエンドトキシン補足フィルターやROモジュール等の管理
  4. 関連学会等での清浄化に関する情報提供および周知
  5. 透析液製造工程管理に関するマニュアル整備
  6. 透析液清浄化に関する患者様並びにスタッフへの啓発活動

 

2、医療機器の安全管理 ~安全に医療機器を運用できることを目指し業務を行なっています~

医療業界では「医療の安全と質」の重要性が再認識され、医療機器の安全性が求められています。

仁真会では計650台以上の医療機器を保有し、それら医療機器をより一層安全に運用できること目指し医療機器安全管理委員会を中心に医療機器管理業務を行なっています。

 

透析関連機器の点検・メンテナンス

仁真会の主診療である透析治療に対し、患者監視装置や透析液供給装置等の透析関連機器の計画的な点検・メンテナンスを実施し、より安全な透析治療を提供できるよう支援しています。
輸液ポンプ、シリンジポンプや人工呼吸器、除細動器なども同様に計画的な保守・点検・管理を実施しています。
日々の機器トラブルに対応するのはもちろんのこと、半年に一度、すべての患者監視装置や透析液供給装置等の透析関連機器の点検、修理をしています。

メンテナンス・点検情報の管理

メンテナンス、交換部品周期などの情報はオリジナルのデータベースシステムを構築し管理しています。

医療機器の安全使用に関する教育

透析関連機器や院内におけるあらゆる医療機器に対し、他の医療スタッフに取扱い説明等の講習会の開催、eラーニング動画や安全使用マニュアルの作成を行っています。 また、(社)日本臨床工学会やメーカの行う機器研修やセミナー等に積極的に参加し、知識と技術の向上を図っています。

 

【臨床工学科の医療機器安全管理業務】

  1. 始業・運転・終業点検
  2. 定期点検(各機器個別の点検周期に従って点検)、故障点検
  3. 故障修理や消耗部品の交換
  4. 万が一の故障時の緊急対応
  5. 他の医療スタッフへの情報伝達や研修実施
  6. マニュアルの作成およびその周知

 

3、医療安全管理

近年、医療業界への安全管理の関心が高まり、2001年には厚生労働省に「医療安全推進室」が設置され、医療機関におけるリスクマネジメントの必要性が提言されました。更に2002年に「医療安全管理体制未整備減算」として、医療機関が取り組むべき事項が明確にされました。
仁真会では、2000年に「事例検討委員会」を設置し、2017年に同委員会を「医療安全管理委員会」と改称し法人全体の医療安全を担っています。医療安全管理委員会は、月に一度、医師およびコ・メディカルの各部門から選出されたリスクマネジャーにより、事例報告や事故対策案の検討等を行い医療安全・事故防止に取り組んでいます。しかし、リスクマネジャーの活動だけでは、5施設8部署全体への効果的なマネジメントは難しい状況です。そこで、臨床工学科ではリスクマネジャーを中心に各部署より選出されたサブリスクマネジャーと臨床工学科サブリスクマネジメント小会議を毎月開催し、インシデント・アクシデント事例や事故対策の情報共有と対策実施後の検証・再評価に努めています。さらに各部署内でサブリスクマネジャーによる事故防止の啓発活動に取り組んでいます。

【臨床工学科の医療機器安全管理業務】

  1. 医療安全管理委員会で報告された臨床工学科の全事例内容の開示
  2. 医療安全管理委員会で採決された事故対策内容の報告
  3. 多発事象および重大事象の評価・分析
  4. 事故対策の立案
  5. 事故対策の再評価